実際にイオンモバイルを利用してみて感じたメリットとデメリットをまとめます。今回の利用は、NTTドコモ回線タイプ2ですが、以前に利用した事のあるタイプ1の印象も加味しています。
イオンモバイルのメリット①~マルチ・キャリア
イオンモバイルは、NTTドコモ回線とau回線のサービスを提供しているマルチ・キャリアです。
マルチ・キャリアのメリットは、手持ちの端末をSIMロック解除せずに利用できる幅が広がる事にあります。
通常、大手キャリア(通信会社)で購入した端末は、そのキャリア以外の回線では利用できないように「SIMロック」がかけられているため、シングルキャリア(1社で1種類の回線のみ)では、1種類のSIMロック端末しか利用できません。
マルチ・キャリアであるイオンモバイルであれば、NTTドコモで購入した端末も、auで購入した端末もいずれもSIMロック解除不要で利用できる訳です(一部SIMロック解除が必要な端末もあります)。
イオンモバイルではSoftbank回線サービスの提供はないので、全てのキャリア端末をSIMロック解除不要で利用できるわけではないのが残念なところです。
イオンモバイルのメリット②~豊富な料金プラン
イオンモバイルの料金プランは、最小1GBデータプラン480円~最大50GBシェア音声プラン9,280円まで、なんと29種類もの料金プランが用意されており、ユーザーの使い方によって自分にピッタリな料金プランを見つける事ができます。
さらに、「10分かけ放題」や「050かけ放題」等のオプションを組み合わせることで、100種類近い選択肢となるきめ細かいサービスが特徴的です。
イオンモバイルはファミリーでの一括契約を狙っているだけに、10代~20代の若者層と、50代~60代のシニア層では利用方法が全く異なる事を前提に、家族の誰もがピッタリなプランを見つけやすくなっています。
イオンモバイルのメリット③~全国200店舗以上
イオンモバイルは、全国のイオンやイオンモール等に200か所以上の店舗を構え、通信回線の契約・開通、端末販売、サポート等を行っていますので、買い物ついでに立ち寄る事ができるのがメリットとなっています。
通常の通信会社のショップは、買い物の際の立ち回り先と全く異なる場所にあるため「面倒」「遠回り」等と感じ、なかなか足が向かないと言った事がありますが、イオンモバイルであれば、イオンでの買い物ついでに気軽に立ち寄れる気安さが大きな特徴です。
イオンモバイルのメリット④~豊富な端末ラインナップ
初級機~上級機まで、豊富なAndroidスマートフォンのラインナップから好みに応じた端末を選べます。
2019年8月20日時点で、中国メーカー、日本メーカーのAndroidスマホ30機種がラインナップされています。
24回分割支払いも可能ですし、回線契約のない端末単体購入も可能です。
これは、MVNOでは非常に珍しい事で、ほとんどのMVNOでは通信契約とのセット、または、回線契約者の機種変更としてのみ端末購入を可能としていますが、イオンモバイルは、回線契約がなくても端末購入が可能です。
しかも価格もある程度割安な設定となっており、SIMフリーAndroidスマホの購入ルートとして貴重といえます。
イオンモバイルのメリット⑤~最低利用期間・早期解約違約金なし
音声通話プランの契約の場合、他社MVNOの多くは、1年間の「最低利用期間」を設けており、この期間内の解約に対しては、「解約料」「契約解除料」等の名目でいわゆる早期解約違約金を徴収していますが、イオンモバイルの場合には、最低利用期間の規定がなく、解約に対して早期解約違約金を請求する仕組みがありません。
ただし、MNP制度を使って他社に転出する(※)場合には、契約後あまりに短い期間での転出の場合には、転出手数料が割高になるルールとなっていますので、注意が必要です。
- ●契約日から90日以内のMNP転出の場合…転出手数料 15,000円(税別)
- ●契約日から91日以降のMNP転出の場合…転出手数料3,000円(税別)
解約とMNP転出の違い
「解約」とは、現在利用中の電話番号を他社で使用せず破棄してイオンモバイルの契約を終了する事を言います。
これに対して「MNP転出」とは、現在使用中の電話番号を他社で継続して利用する形でイオンモバイルとの契約を終了する事を指します。
ここでいう電話番号とは、「050かけ放題」で付与された050局番の電話番号ではなく、090/080/070局番の音声通話プランに使用している電話番号を指します。
つまり、イオンモバイルの場合、利用中の電話番号を破棄する場合には早期解約でも違約金は発生しないが、MNP制度を利用して電話番号を引き継ぐ場合で、契約から3ケ月以内の場合には、MNP転出手数料が割高(15,000円+税)となる…という意味です。
イオンモバイルのメリット⑥~半額通話・050かけ放題
イオンモバイルには面白い通話オプションが用意されています。
月額利用料がなく使わなければコストが発生しないのに、通話料金が通常の20円/30秒から、半額の10円/30秒になる「イオンでんわ」は、通話の際には是非とも利用したいオプションの1つです。
「10分かけ放題」もこのアプリ経由での通話を前提としており、10分間の「放題時間」経過後も10円/30秒で通話を継続する事ができ、料金節約に大いに貢献するサービスです。
面白いのは「050かけ放題」です。
050局番の電話番後を別途付与して、IP電話を24時間、かけ放題にできるこのサービスは、フルタイプ(※)のかけ放題がないMVNOの中にあってかなり特殊なオプションサービスと言えます。
フルタイプのかけ放題は、大手キャリアか、サブブランドY!mobileのみの提供で、他の格安通信会社では「5分かけ放題」「10分かけ放題」と、時間を区切った「ライトタイプ」のかけ放題となっています。
※ フルタイプのかけ放題とは
通話開始から5分あるいは10分間だけ、月額基本料の範囲で通話し放題のかけ放題を「ライト」タイプ、時間制限がなく24時間、どれだけ通話しても基本料以外のコストがかからないかけ放題を「フル」タイプと言います。
大手キャリアのフルタイプのかけ放題は月額2,700円ですので、イオンモバイルの「050かけ放題」は、IP電話で通話品質が若干劣る可能性はありますが、月額1,500でフルタイプのかけ放題が利用できるのはメリットと言えます。
イオンモバイルのメリット⑦~低速モード(200kbps)
イオンモバイルではNTTドコモ回線でタイプ1・タイプ2、au回線でタイプ1のサービスを提供していますが、そのいずれでも、通信速度を任意で低速(200kbps)に切り替えて了する事ができます。
低速利用の場合には、有料の高速データ通信の容量を消費しない(つまり通信料無料でデータ通信が可能)ため、料金を節約したいユーザーには非常に有用なサービスです。
例えば、メール送受信、SNSトーク、ニュースWEB閲覧、音楽ストリーミングなど、高速通信でなくても充分に利用できるコンテンツは意外に多く、それらを利用する際に「低速」を利用すれば、高速データ容量を温存でき、WEB閲覧や動画視聴等の高速通信が必要な場面で有効に利用する事ができます。
高速⇔低速は専用アプリから簡単に切替える事ができます。
またアプリでは、併せて高速データ容量の残量を確認する事ができます。
イオンモバイルには3日間制限がない
MVNOの多くは、任意に切替えであっても、容量消費による強制的な制限であっても、低速時には3日間で利用できる通信量が決められており、それをオーバーすると、200kbpsよりもさらに遅い速度に制限が強化され、ほぼ使い物にならない速度になってしまいます。
しかし、イオンモバイルには3日間制限の設定はなく、低速時にいくら通信を利用してもそれ以上の速度制限を受ける事はありません。
(注意)ここでいう速度制限は低速利用時が対象であり、高速利用時は契約したプランごとの月間容量を使い切った場合には、低速(200kbps)の制限を受けます。
なお、高速データ容量を余らせた場合には、翌月にのみ繰越すことができます(2か月後までは繰越せません)。
イオンモバイルのデメリット①~タイプ1の通信速度の遅さ
先の「通信速度の実測」の項でも書きましたが、音声通話プラン:タイプ1の通信速度の遅さは深刻です。
通常、遅いとは言っても、それはトラフィックが集中する時間の速度低下が主で、その他の時間帯ではごく普通に利用できるケースがほとんどですが、イオンモバイルのNTTドコモ回線タイプ1に関しては、朝夕・昼時など、速度低下しやすい時間帯はもちろん、その他の時間帯でも決してサクサク快適という訳にはゆきませんので、相当の遅さを念頭に契約すべきです。
au回線タイプ1に関しては、実際にSIMを契約して速度計測していませんので確実ではないかもしれませんが、こちらの回線の供給元もIIJですので、速度はあまり速いとは思えません。
一方、同じNTTドコモ回線を使用していても、NTTコミュニケーションズが供給するタイプ2は、かなり良好な速度を維持しており、データ通信専用ですが、快適な通信を利用する事が可能です。
イオンモバイルのデメリット②~カウントフリーサービスの提供なし
イオンモバイルでは、「0レーティング」いわゆる「カウントフリー」と呼ばれる通信料の「無料化」「定額化」サービスの提供がありません。
LINEをはじめFacebook/Twitter/Instagramを通信料無料で利用できる「LINEモバイル」や、動画や音楽配信などエンターテイメント系コンテンツの通信料を定額化する「BIGLOBEモバイル」のエンタメフリー、対象のゲームのDLやプライ時の通信料を定額化する「Links Mate」のカウントフリーなど、MVNO各社は特徴あるカウントフリーサービスを提供していますが、イオンモバイルには、そうしたサービスがありません。
リテラシーの高いユーザーよりは、ファミリー層狙いのサービス内容を設計しているのかもしれませんが、イオンモバイルのサービスは、内容が分かりやすくお得感の高いものが多いようです。
イオンモバイルのデメリット➂~ドコモ⇔au回線間の契約変更不可
イオンモバイルは、マルチ・キャリアとして「NTTドコモ」「au」の2社の回線を使った通信サービスを提供していますが、残念ながら、イオンモバイル内で回線切換えができません。
ドコモユーザーがau回線を使用したい場合には、一旦、解約してから再契約するしかなく、その場合には、利用中の電話番号は破棄されてしまいます。
mineoでは、サービスを提供しているドコモ・au・Softbankの回線を切り替えができる事を考えると、使い勝手の面で物足りないものを感じます。
ただし、MVNO社内でキャリア回線を切り替えられる方が少なく、通常のMVNOはみなイオンモバイルと同様で、回線の切換えはできません。
イオンモバイルのデメリット④~iPhoneを購入できない
これはイオンモバイルだけのデメリットではなく、多くのMVNOが抱える問題でもありますが、人気の高いApple iPhoneがラインナップされておらず、セット購入も機種変更も対応していません。
これには、取り扱う限りは一定の販売量を求めるというAppleの意向が大きく影響しており、国内で取り扱う事ができるのは、大手キャリアとそのサブブランドやグループ内MVNOのみとなっています。
これには、取り扱う限りは一定の販売量を求めるというAppleの意向が大きく影響しており、国内で取り扱う事ができるのは、大手キャリアとそのサブブランドやグループ内MVNOのみとなっています。
せっかく流通系からの参入ですので、iPhoneを仕入れられる独自ルートを開発して欲しいものです。
イオンモバイルのデメリット⑤~追加購入データを繰越せない
イオンモバイルでは、月間の契約容量を使い切った際に、1GB=480円でデータ容量を追加購入できますが、この追加分については使い切れなかった場合でも、翌月に繰越す事ができません。
例えば、月末最後の1週間に契約容量を使い切って追加購入した場合で、月内に追加分を使い切れずに余らせても、翌月に繰越して利用する事ができませんので、追加購入のタイミングや購入量に注意が必要です。
イオンモバイルのデメリット⑥~SIM納品時の見た目と送料
こちらは、イオンもバルから送られてくるSIMカードです。
SIMが外されて、セロハンテープで留めてある状態で届くので最初は驚きますが、サポートへ問合せたところテストのためSIMはカードから取りはずしているとの事で、何らかの不良ではありませんでした。
でも、それならそうと、どこかに記載すべきではないでしょうか。
中古品でも送られてきたのかと驚きますし、不安にもなります。
また、他社ではそういった事は過去に1度もありませんが、イオンモバイルは、契約したSIMカードの配送料をユーザーが負担します。
初期費用などとは別途に「送料」が加算されます。
これも他社にはないイオンモバイルだけの(あまり良い印象ではない)特徴です。
ちなみに、解約時にWEB上から手続きできないのも少々手間がかかり面倒です。
イオンモバイルのデメリット⑦~お申込み完了通知書とマイページ
申込み~審査が完了するとSIMや端末が登録した自宅に届きます。
端末の初期設定を行い利用開始した後、高速⇔低速の速度切替えアプリや、イオンモバイルのマイページへのログインをしようとすると、「お客さまID」の入力を求められますが、申込みの段階でも、届いたSIMや端末にも「お客さまID」は記載されておらず、ログインする事ができません。
「お客さまID」は、後から郵送で届く「お申込み完了通知書」に記載されています。
SIMや端末が先に届いて、肝心の「お申込み完了通知書」が後から届くのでは、利用開始直後から切替えアプリやマイページは利用できないことになりますが、それはイオンモバイルのシステムとして正常なの?と疑わざるを得ません。
ちなみにパスワードも自分で設定していない(申込時にパスワードの設定がない)ので、勝手に青年月日になっています。
しかも、「パスワードをお忘れのお客様」へ進むと、ここでも「お客さまID」を求められる上、「ご登録のメールアドレス」を求められますが、後で分かる事ですが、このメールアドレスは申込み時に登録したメールアドレスではなく、「mail@aeon.aeon」(不確実)という聞いた事もない、もちろん自分で登録した事もないアドレスなんです。
要は、「お申込み完了通知書」が手元に届かない限りログインする事はできない(通話・通信は通常通り利用可能)というわけです。
そうならそうで、もっとその事について告知して欲しい処ですが、筆者の見落としかもしれませんが、そのような記述は覚えがありません。
IDもパスワードも分からなければ、必然的にサポートへ問合せをしなければならず、無駄に通話料がかかってしまう事を勘案すれば、何度か「お申込み完了通知書」について告知すべきでしょうし、完了メールにもその旨を記載すべきではないでしょうか。
流通系だから他社と違う点があると書きましたが、この点については、「特徴」ではなく、あきらかに仕組みとしておかしいと思います。
少なくとも、SIMや端末と同じタイミングで「お申込み完了通知書」が届くべきです。