nuroモバイルを実際に使ってみた上で感じたメリットやデメリットをまとめます。
nuroモバイルのメリット①~トリプル・キャリア
nuroモバイルでは、NTTドコモ・au・Softbankの3キャリアの回線全てのMVNOサービスを提供しているため、ユーザーの都合に合わせて回線を選ぶ事ができます。
自宅や職場などの電波状況の良し悪し(圏外など)や、利用中の端末のSIMロックの問題など、3キャリアの回線を選ばなければならないシーンでも、3キャリア回線全てのサービスを提供するnuroモバイルなら、どのキャリアからの乗換えでも受け入れる事が可能です。
■SIMロック解除できないスマホでも格安SIMを使える
2015年4月以前に発売となったスマートフォンのSIMロック解除は受け付けて貰えません。 iPhoneで言えば、SIMロック解除大砲となるのは、2015年9月発売のiPhone 6s/6sPLus以降のモデルのみで、iPhone6/6PlusまでのモデルはSIMロック解除対象外です。
しかし、マルチ・キャリアMVNOであれば、SIMロックされたままのキャリア端末でも、書くキャリア回線のサービスを利用する事で、SIMロック解除できない端末でも格安SIMで利用する事ができます。
nuroモバイルは、NTTドコモ・au・Softbank全てのキャリア端末を利用する事が可能です。
もちろん、SIMロック解除可能なモデルであれば、回線を選ばず好きなサービスを利用可能です。
nuroモバイルのメリット②~ユニークなサービス
nuroモバイルは、現在は、新規申込を停止していますが、1日5時間まで容量無制限で高速通信を使える「5時間プラン」など他社にはない独自のサービスを提供している事でも有名なMVNOです。
次月の自分のデータ容量を使える「データ前借り」
「データ前借り」とは、次月に付与される予定のデータ容量を前借りできる制度で、nuroモバイルのオンリーワンのサービスです。
通常、月間のデータ容量を使い切ってしまった場合、月末まで低速のままで我慢するか、有償で容量の追加購入をしなければなりませんが、nuroモバイルなら「データ前借り」で次月分を前倒しで利用する事ができます。
前借りして減ってしまった次月分は、またその次の月から前借りする事が可能なので、少しずつ減らしてゆけばいずれは前借りを無くすことも可能です。
前借りできる容量は10MB以上で、1MB単位で最大2GBまで前借り可能です。
月の最終日前日まで、何度でも前借りする事が可能です。
データ容量の消費順は、以下の通りです。
- 1.パケットギフトで受け取った通信可能データ量
- 2.パケット繰り越しで繰り越された通信可能データ量
データ前借りで残余し繰り戻された通信可能データ量
- 3.各プランに設定された通信可能データ量
- 4.データ前借りにより前借りした通信可能データ量
- 5.チャージにより購入された通信可能データ量
データ前借りは、「お試しプラン」では利用できません。
nuroモバイルどうしならデータ容量をプレゼントできる
「パケットギフト」は、家族や友人など、nuroモバイルのユーザーどうしなら、手持ちのデータ容量をプレゼントする事ができる制度です。
プレゼントできるのは、ドコモ⇔ドコモ、au⇔au、Softbank⇔Softbankの同一回線どうしに限られますが、データ専用・SMS付・音声通話付きの区別はなく、プレゼントできます。
10MB以上で、1MBごとにプレゼントする容量を決める事ができます。
毎月末最終日前日まで、何度でもプレゼント可能です。
パケットギフトは、「お試しプラン」では利用できません。
データ容量の消費順は、以下の順番で消費さえます。
- 6.パケットギフトで受け取った通信可能データ量
- 7.パケット繰り越しで繰り越された通信可能データ量
データ前借りで残余し繰り戻された通信可能データ量
- 8.各プランに設定された通信可能データ量
- 9.データ前借りにより前借りした通信可能データ量
- 10.チャージにより購入された通信可能データ量
nuroモバイルのメリット③~お試しプラン
nuroが提供するプランのうち、「お試しプラン」は非常にユニークです。
付属するデータ容量は僅か0.2GB(204.8MB)ですが、データ専用プランなら月額300円から利用でき、音声通話機能を付加しても月額1,000円で、しかも「最低利用期間」や「解約金」の規定がなく、いつ解約・MNP転出しても違約金等の課金がありません。
0.2GBという少なすぎるデータ容量は、600円/1GBから追加購入する事ができますし、容量の大きなプランへの変更も可能です(最低利用期間と解約金も発生しますが)。
nuroモバイルってどうなの?といったお試し利用を想定しており、気に入ったら容量の大きな通常プランを使えばいいし、気に入らなければ、多少の手間はかかりますが、他社への乗換えも可能です。
また、「お試しプラン」といっても、短期間しか利用できない規定はないので、データ通信をほとんどしない方は、そのまま通話プランとして継続的に利用する事が可能です。
【ご注意】
本稿執筆のタイミングは、「早期解約違約金」の上限を1,000円とする総務省令が施行っされる直前です。
執筆時点でnuroモバイルの「早期解約違約金」(解約金)が2019年10月1日以降に1,000円となる旨のアナウンスはありませんが、他社事例を見ると、既に、最低利用期間や違約金の廃止を公表している事業者もあれば、最低利用期間は存続させ、違約金を上限1,000円とする旨を発表した事業者もあります。
nuroモバイルは、総務省の規定である回線数シェア0.7%({100万回線}を上回る規制対象事業者ではないと思われますが、ルール変更を実施する可能性もあります。
現行の「最低利用期間12か月」「解約金9,500円」のルールを変更した場合、この「お試しプラン」に魅力が著しく損なわれるケースも考えられ、その場合には、「お試しプラン」の内容等の変更もあるかもしれません。
nuroモバイルのメリット④~バーストモード
nuroモバイルで、月間の契約データ容量を使い切った場合には速度制限を受け、最大200kbpsとなりますが、バースト機能を備えており、使い勝手を改善しています。
バースト機能とは、通信の最初の部分だけ高速通信を行うことで、データの大部分をダウンロードしてしまう事で、WEBの表示速度などを改善する機能です。
バーストがあるとないとでは、使用感はかなり違ってきますので、目立ちませんがNUROモバイルのメリットの1つと言えます。
nuroモバイルのメリット⑤~0SIM(ゼロシム)
こちらは「お試しプラン」よりもさらにユニークです。
「0SIM」(ゼロシム)は、月間499MBまでのデータ通信が無料で利用できる通信SIMで、元々は、雑誌の付録として誕生しましたが、nuroモバイルの定番サービスとしてそのまま存続し続けています。
月間499MBまでは無料で、500MB~2GBの間は、100MBごとに月額料金が加算される「従量課金制」プランで、2GB~5GBの間は月額1,600円の定額となる「固定課金制プラン」となっており、2タイプの料金制が組み合わされています。
データ専用SIMとしてだけでなく、SMS機能150円/月、音声通話機能700円/月を付加することができます。
データ通信を499MB以内に抑えれば、業界最安値の700円で音声通話SIMを維持する事ができます。
音声通話機能を付加した場合、オプションの「nuroモバイルでんわ」「10分かけ放題」(800円/月)も利用可能です。
nuroモバイルどうしならデータ容量をプレゼントできる
非常に割安に音声通話SIMを維持する事ができる「0SIM」ですが、残念ながら、通信速度が非常に遅いので、その点は覚悟しておかなければなりません。
実用速度の下限目安と言われている「1Mbps」を割るのは当たり前で、混雑時以外でも、継続的に極低速となりますので、利用する場合には、注意が必要です。
nuroモバイルのメリット⑥~MVNE業務
ユーザーに対して格安通信サービスを提供している事業体がMVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体通信事業者)ですが、MVNOに対して、回線やノウハウの提供を行ってMVNO事業をサポートする事業をMVNE(Mobile Virtual Network Enabler:仮想移動体サービス提供者)と言います。
「So-net」(ソニーネットワークコミュニケーションズ)は、MVNOとしてnuroモバイルを運営する傍ら、MVNEとして他社MVNOに回線やノウハウなどを提供するMVNE事業を行っています。
先日、Softbankグループ傘下に入った後に「au回線サービス」の提供を開始して世間を驚かせたLINEモバイルのau回線は、MVNEとしてSo-netから供給を受けている等があります。
So-netがMVNE事業を行っている事はnuroモバイルのユーザーとして特に恩恵はないと言えますが、MVNEとして他社に技術供与を行えるような技術力の高さは、nuroモバイル独自のサービス提供に生かされているのかもしれません。
nuroモバイルのデメリット①~料金プランが少ない
nuroモバイルの料金プランは、よく言えばシンプルですが、選択肢が少ないのはやはりデメリットです。
トリプル・キャリアとして通信回線に3つの選択肢があるのは大きなメリットですが、各回線のデータ容量の区分はお試しプランを入れても4つずつしかありません。
1GBしか利用しないユーザーでも2GBぶんの料金を支払わなければならず、3GUBしか使わなくても7GBぶんの料金を支払わなければならず、事業者側からみれば、少しずつでも多めの料金を徴収できるのでプラスですが、ユーザー側から見た料金高率は良いとは言えません。
また、最大でも13GBまでしか設定がなく、大容量への対応が不足しています。
せめて、15GB,20GB程度のプランはあっても良いのではないでしょうか。
nuroモバイルのデメリット②~通信速度が遅い
nuroモバイルの通信速度は決して速いとは言えません
MVNOの宿命として、通信混雑時間帯~朝夕・昼12時台・夜間~では通信速度が低下する傾向がありますが、nuroモバイルの場合には、混雑時間帯以外でもWEBサクサク…といった高速通信感は感じられません。
具体的な通信速度については、前述の「通信速度実測値」の項に記していますが、世の中は、「料金安いから通信速度は遅くても致し方ない」から、「料金が安くても実用的な速度は維持すべき」という認識になってきていますので、現状の通信速度ではユーザーの満足感は得られないのではないでしょうか。
もちろん、実用速度を大きく割り込んでいて「使い物にならない」というレベルではありませんが、世界最速インターネットと同じ「nuro」を冠しているのであれば、もう少し速いとイイのですけれど…。
nuroモバイルのデメリット③~高速・低速切替え不可
人気MVNOで提供されている、いわゆる「低速モード」がnuroモバイルにはありません。
「低速モード」は、通常の高速通信容量を使い切った際に速度制限として提供する低速(200kbps)をユーザーの任意で利用できる仕組みで、メールやSNS等の高速通信を必要としない場合や待受け時に低速に設定する事で、有償の高速通信容量を節約できます。
nuroモバイルは、この高速⇔低速の切換え機能がないため、常に高速データ容量を消費します。
nuroモバイルのデメリット④~速度制限
MVNO各社で、いわゆる「3日間通信速度制限」が行われています(全社ではありません)。
nuroモバイルでも「3日間通信速度制限」のルールがありますが、その内容は明確に示されていません。
WEBには「当日を含む3日間の合計データ通信量が、規定値を超えた場合当該SIMカードを使った通信の速度を制限する場合があります。通信速度制限は、翌深夜~朝方に解除いたします。」と記述されていますが、「規定値」が何MBなのか明記されていません。
速度制限は、月間の契約データ容量を使い切った場合にも行われますが、追加購入で速度を高速に戻す事が可能です。
しかし、「3日間通信速度制限」では追加購入での速度回復はできず、連続する3日間のデータ使用量の総量が規定値を下回った場合に解除される仕組みです。
「3日間通信速度制限」は、特定のユーザーだけが大量のデータ通信を行い回線を占有してしまうのを防ぐために設けられているルールですが、その基準は各社ことなります。
nuroモバイルの場合は、規定値が明記されていませんが、ネット上などの実際のユーザーの声などから、400MB/3日間ではないかと推測されます。
nuroモバイルのデメリット⑤~データ追加購入が1GB単位
料金プランもそうですが、nuroモバイルの料金体系は、選択肢を少なくしシンプルにまとめる傾向があり、データ容量の追加購入に関しても、3キャリア回線とも「1GB」単位のみとなっています。
他社では、200MBなど小容量の選択肢を設けている場合や、Y!mobile・UQmobile等のサブブランド系では500MB単位での購入がデフォルトとなっているケースも少なくないのですが、nuroモバイルの場合には、ほんの少し容量が足りない場合でも、1GBを購入しなくてはなりません。
せめて、現行の半分の500MBでの追加購入があるとよいのではと思います。
nuroモバイルのデメリット⑥~回線変更ができない
nuroモバイルのメリットの1つに、NTTドコモ・au・Softbankの3種類の通信回線を選ぶ事ができる「トリプル・キャリア」である事が挙げられます。
確かに、他社からの乗換えの際には、3つのキャリアのどこからでも利用できる回線があるという点でメリットである事は確かですが、残念ながら、nuroモバイルの中で回線を変更する事はできません。
例えば、契約時にはドコモ回線だったが、転居先でドコモは電波状態が芳しくないので、auか、Softbank回線を使いたいと思っても、nuroモバイル内での変更には対応しておらず、他社通信会社へ再度乗り換えなければなりません。
マルチ・キャリアとして複数の回線サービスを提供している事業者は増えていますが、社内で回線を切り替えることができるのは、未だにmineoのみですので、nuroモバイルの使い勝手が特段悪いわけではありませんが、MVNEとしての技術力もあるのですから、実現して欲しい機能の1つです。
nuroモバイルのデメリット⑦~店舗数が少ない
nuroモバイルは、大手家電量販店やショッピングモール等の携帯売り場で契約する事が可能ですが、直営店舗はありません。
携帯売り場でも、nuroモバイルのノボリや看板が出ている訳ではないので、どこで契約すれば良いのか分からないといった声もあります。
多くのMVNOがそうですが、独自店舗維持には非常にコストがかかるため、収益規模の小さなMVNOでは独立店舗を持つのは難しいのは事実ですので、nuroモバイルだけの問題ではなく、MVNO業過全体の問題となっています。